覗き
妻と、百貨店に買い物に行った。 上階にあがるべく、エスカレーターに乗ろうとすると、 スッ とオヤジが割り込んできた。 『なんやこのオヤジは』と内心思ったが、 「あっすいません。」といいつつ、俺は譲らなかった。 そのオヤジは、俺たちの後ろに立った訳だが、 ふと目の前を見ると、やけに丈の短いスカートをはいている女子高校生が居た。 女ふんどしが見えそうな装いである。 そもそも、ただの布であるため、興味があるわけでもないわけでもない事もなくもないが、 『昨今の若いモンは。。。』と日本の将来を危ぶみつつ、ふと下をみると、 さっきのオヤジがちょうど、下階のエスカレータを上りきり、俺たちの乗っている次階へのエスカレータに乗ろうとしていた。 が、エスカレータには乗らず、スッとその階で降りた。 この店舗は、エスカレータの横は通路になっており、上りエスカレータと通路が平行する構造だ。 オヤジ(マスク着用)の挙動が不審であったため、観察していると、 通路を歩きながら、右上方向つまり、俺たちの方向をガン見している。 そう。目線の先には、女ふんどし。 俺は怯えた。 「俺たちはパンツが見たいんじゃない。パンチラが見たいんだ!!」 と、織田裕二風に叫ぶ青少年ならまだ健康的だが、 このオヤジの目は違う。 店舗の構造を利用し、計画的とも言えるこの犯行に及ぶオヤジ(50ぐらいか)のそれは、 まさに犯罪者の目だった。 やはりこの世で最も恐ろしいのは人間である。