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中学時代のY先生が教えてくれたこと

ふと思い出した、中学生時代のY先生の話。 こういう教科が今もあるのかどうかわからないけど、当時は週に2コマぐらいで、「技術室」と呼ばれる古い木造の離れのような教室で、モーターで動くボートを作ったり、半田ごてを使ってラジオを作ったりする「技術科」という授業があって、その受け持ちがY先生だった。 Y先生は太っていて、ウルトラマンに出てくる怪獣のような顔をしていた。おそらく当時は20代だったと思う。生徒にはチンピラみたいな怒り方をする、いわゆる怖い先生の部類だった。 さて、そんなY先生の技術科では、不思議な授業がいくつかあった。 ひとつは、「“遊星からの物体X”という映画を鑑賞する授業」だ。たしかこれは通算2回観た気がする。 授業が始まるや、先生が教室のテレビにビデオデッキをつなぎ、映画のカセットを入れ、再生ボタンを押すのだ。終業のチャイムが鳴ると、先生は停止ボタンを押して、「続きはまた来週。」と教室を去る。 技術の授業でこれを見せる意図も、映画の説明も何もない。このB級ホラーの金字塔ともいえる映画をただただ観るだけの授業だ。 もう一つは、「“スカイラインGT-R”のエンジンを見る授業」だ。 先生は車が好きだったようだ。ある日先生は、爆音をたてながら、発売されたばかりの新車、スカイラインGT-Rに乗って学校にやってきた。ヤンキー寄りの友人が異常に興奮していたのを覚えている。 その週(だったかどうかは定かでないけど)の技術の授業になると、先生は「みんなちょっと来て」と生徒を駐車場に連れだし、自慢の愛車“スカイラインGT-R”のボンネットを颯爽と開けた。 そして、ブォンブォンとエンジンをふかし、馬鹿でかいエンジンの隙間から覗く、なんだかわからないワイヤーのような物がヒコヒコ動いている様を中学生に見せたのだ。 この時、なんと言ったか覚えてないけど、「技術の授業でスカイラインのエンジンを見せる意義」を必死に見せようとしていた気はする。 中学校の技術の先生の使命が何かはわからないけど、なんらかの使命を背負っている感じのしない、テキトーな先生だった。 そして大人になった今も、Y先生は時々僕の中で蘇り、色んな事を教えてくれています。 反面教師として。