2016/04/18

熊本地震とひかるくん



2016年4月14日木曜日 21時25分ごろ、寝る前の子どもたちに絵本を読んであげていると、手元のiPhoneが「ブィー!ブィー!地震です。ブィー!ブィー!地震です」と、無感情かつ、けたたましく鳴り響いた。その数秒後、ユラユラと横揺れが数秒ほど続いた。

すぐに寝室から出てテレビをつける。 アナウンサーが緊迫した声で熊本地方を震源とした巨大地震が起きたことを、激しく揺れる熊本市街を写す定点カメラの映像とともに何度も繰り返し伝えていた。

3歳の次女は私の足にしがみつき、5歳の長女は不安そうな顔でテレビを観ている。ふたりとも、ただならぬことが起きている事を感じたようだ。

テレビに映る「震度7」という文字を見て、5年前の東日本大震災の事を思い出す。当時は東京だったのでかなり揺れた。今回は飯塚なので揺れはそれほどまでもなかったが、久しぶりに聞く緊急地震速報のチャイムとアナウンサーの緊迫した声が、当時感じた到底太刀打ちできない自然界へ無力さと恐ろしさを思い起こさせた。

その後、何度も起きる余震とスマホの緊急地震速報のブザーは、2人の子供達にしっかりと恐怖心を植えつけたようで、地震の揺れ自体よりも、スマホが発するあのなんともいえない「怖い音」にすっかり怯えるようになってしまった。

長女に至っては、いつもはスマホを貸すと喜んでゲームを始めようとするが、いつその「怖い音」が鳴るかわからない物体に、「いらない、お父さん持っちょって。」と拒否するようになり、次女も寝る前には「今日は地震来ん?」と聞くようになってしまった。

そんなわけで、私も妻もiPhoneの緊急地震速報の通知設定をOFFにすることにした。

そんな地震の恐怖におののく週末、近所のホームセンターに買い物に行くと、カブトムシの幼虫を無料で配っていた。無論、飼育グッズ販促のためのホームセンターの罠だとは解っていたが、聞くと「育ててみたい」という長女の意見と、この夏のよい教材と思い、幼虫一匹と飼育用容器、幼虫のエサとなる土(マットというらしい)を買い揃えた。

そんな幼虫にどういうわけか「ひかるくん」という名前をつけた長女。

幼虫から蛹を経て成虫となり、秋になると死んでしまうひかるくんや、今回地震の恐ろしさなど、これからいろんなことを経験するだろう。悲しいことや恐ろしい事だとしてもそれはきっと糧になると思う。

が、スマホのあの音だけは他の音に変えられないものだろうか。